スポンサード リンク

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサード リンク

『りすん』 諏訪哲史

りすん


『りすん』 諏訪哲史
現代文学シーンにいまだ恥ずかしげもなくはびこるところの、三つの紋切型

紋切型(1) 異常さの濫用(暴力・殺人・ドラッグ・変態性欲など)。
紋切型(2) 愛する者の死(不治の病・死別と号泣・記憶の美化)。
紋切型(3) 入れ子形式(メタフィクション)は前衛小説の一手法である、という固定観念。
引用 : 講談社BOOK倶楽部より

諏訪さんのコラム記事。ご参考までに。

さて、『りすん』の感想文だけど。
どう書けばいいのか数日考えてみたけれど…、どう書けばいいのか。
とりあえず内容と紹介文を 先の同サイト から抜き出してみる。

遠い親戚だけど兄妹のように育った2人。妹は骨髄癌におかされ長期入院している。病室で繰り広げられる2人の会話。ある時、2人は同室の女性患者が自分たちの会話を盗聴していることに気づく。2人は彼ら固有の生を求め、物語の紋切り型と小説の作為とに抗い続けるが――。小説とは何か、言葉とは何か、小説を書くという行為とは何か。さまざまな問いを底流におきながら、兄妹の切ない物語として、リズミカルな言葉で描かれた待望の長篇。芥川賞受賞後、初の小説!


この小説は全文カギカッコ、会話文で進む。地の文がない。どちらかというと、身軽に今風に、一見して、書き流されているかのようにも見える。全文カギカッコという方法だけを目の端でさらっと捕まえていくとすれば、「なんで今更この方法で書くの」と言われてしまいそうだ。また終りまで読んでもらったとして、諏訪さんの仕掛け方について、「すでに誰かがやっているよ」と野次る声も聞こえてきそう。なにしろ読む側の固定観念との戦いで、そこを上手に均しながら、それでもこのように書かざるを得なかったと意志を貫いていかなければならないと、私などは思うのだけれども、まぁ言うは易し、ぶっちゃけ、フツーに書いた方が、敵も少なくて済むだろうし、じっさい書きやすいのではないだろうか?

そんなことは百も承知で諏訪さんは書かれているのでしょう。
検索してみると、私の(お節介な)心配などよそに、意外にも好評な理解してもらえている感想文に幾つも行き当たり、それによって、また私は別の感想を抱いてしまったのだが…、それはつまり、こういうことなのだ。

小説を書く側の人よりも、読む側の人の方こそが、じつは自由に受けとめているのではないか、ということ。同業者に嫌われる作家というのがいて、諏訪さんはまさにそれにあたると思われる。同業者というのは小説を勉強し自ら書いて(たいていの場合、売りに出して)いる人のことだけど、彼らこそ頭がカタイのではないだろうかと。フツーの読者は、フツーと言ってもなんだけど好きで気ままに読んでいる人ね、そういう人たちの方が、自由に読めているのではないかと、そんな気がしてきたのだ。
作家は勉強するとダメになるという意見もある。小説と対面したとき、脳の働きの問題で、もっとも最短距離で判断しようとする。過去に勉強した(覚えた)類型の数々がフラッシュバックされて、あるいは、ほとんど無意識のうちに判断、処理されていく。その類型モデルから生理に反して、逆にまわしていくことの難しさ。賢い人に「なってしまった」人ほどドツボに嵌るのである。あとは長年の蓄積をもとに自動運動で柵で仕切った狭い庭のなかをウロウロと歩きまわるという。何度も同じ風景を見、何度でも「出会う」というのは、こういう状態のことだろう。批判を回避するための理屈をたっぷりと用意しつつ、ただ歩きなれた同じ場所を歩き続けているのだ。

自由に読んでくれる人は確実に存在している。諏訪さんの小説は、そのことを思い出させる。「この人なんか好きだ」という意見が多かったような気がするが、「なんか」って何だろう。じつは私も、「この人なんか好きだ」と思っている。

もう1つ。同サイト特集ページの Message から、諏訪さんの言葉を。

振り返るほどの生の歴史もないというのに、兄と妹は、閉ざされた病室で、過去の豊饒な世界の広がりに触れようとする。伸ばされたその手、その指は、今では存在しない時間、存在しない場所を探り当て、そこに憩う。…その指先からつむがれるのはただ、他愛ない、二人の言葉だけ。言葉がかつての死者を生かし、廃墟のホテルを甦らせ、そこで流された音楽、交された多くの会話、打ち合わされるシャンパングラスの栄華を、夢の如く想起させる。


これで見ると、会話だけで進んでいく小説はまるで、会話の原点へと戻ろうとしているかのようだ。会話は探る。「Aです」と言いながら「A」を探る。「Bではない」と言いながら「B」を探る。途中で演劇じみてくる会話でさえも原点へと戻れば探りのしぐさ、ないものを作り、あるものを変えていく、しぐさ。じつはどこにも寄る辺のない、別の言い方をすれば荒唐無稽な会話である。一般的には「リアルな会話かどうか」をまずは見られてしまうのだろうが、どうもその辺りでは説明のつかない、もっと生っぽくてウネウネと動きまわる会話となっている。
おそらく言葉から意味を抜いて音へと回帰させたのが成功しているのではないか、と私は読みながら思ったのだけど、それはわからない。そうかもしれないし、そうでないかもしれない。ただ音へと回帰させた(ように私には感じられた)書き込みは徹底していると思う。駄洒落みたいにして書いているのだけれど、それこそアサッテでポンパなひゃるけるひーなのだが、意味を抜いて音に戻し、会話の原点へと戻すことでしか言い表せない言葉もあるのではないか。あらゆる作為から身をかわして逃れようする。なぜ逃れる必要があるのかといえば、私の声を聞くためである。雑音まみれから言葉を救い出すためだ。それで言うとカギカッコすら不要だったかもしれない。造作なく投げ出したようにも見える、けれども、言葉を音へと帰し、放ってしまう、そういう言葉の守り方もある。言葉を使って勝負している人々にとってみれは、カツンと何かがあたってなかなか出来ない仕事だと思う。
諏訪さんは意外と硬派で正統的な小説家ではないかと、私は勝手に決めている、笑。
アサッテもりすんも両方ともよかった。次も、楽しみです。

関連商品
アサッテの人
スポンサーサイト

スポンサード リンク

『歴史を知ればもっと面白い韓国映画』 川西玲子

歴史を知ればもっと面白い韓国映画 「キューポラのある街」から「王の男」まで


歴史を知ればもっと面白い韓国映画 「キューポラのある街」から「王の男」まで

著者の川西玲子さん自ら書かれた紹介文より↓

――これを読めば韓国映画の見方が変わる、脱「韓流」本です! 
日本人が普通に韓国の映画を観るようになるなんて、10年前には考えられませんでした。「近くて遠い国」韓国との間には、高くて厚い壁が立ちはだかっていたのです。その壁の一角を韓流が崩しました。でも反面、マスコミの韓流報道があまりにも軽く、社会的背景についての説明がなかっため、かえって誤解も生まれてしまいました。この本は「現代史見直しもの」を中心に、ラブストーリーだけではない韓国映画のヒット作を紹介しながら、韓国の現代史を知ろうというものです。むしろ、韓流ブームが冷めてから力を発揮する本だと自負しています。
韓流とは無縁だった人にも、いい映画をみたいと思っている一般の映画ファンにも、ぜひ読んで頂きたいと考えています。(アマゾンから抜き出し)――

韓国の現代史を振り返りながら、映画をまじえて解説している。
どちらかと言うと、映画よりも歴史の説明に多くのページを割いたような読後感で、表題、紹介文どおりの内容。映画が証言する「時代」を理解するために、あまり知られていない現代史こそを丁寧に追いかけて行ったふうだ。まるで友に語りかけるような、読みやすく、分かりやすい文章で書かれている。

「銀馬将軍は来なかった」から、「太白山脈」を経て「ブラザーフッド」に至る一連の映画は、1987年の民主化宣言の後、90年代になって登場した「現代史もの」だ。民主化宣言とは、全斗煥(チャンドファン)政権末期の1987年、次期大統領候補の盧泰愚(ノテウ)が100万人の大デモに押される形で、大統領直接民主制と反体制政治家金大中(キムデジュン)の釈放を約束した政治宣言のこと。
これがソウル・オリンピックの前年の出来事なのだから、韓国の80年代がどんなにすごい時代だったかわかろうというものだ。韓国では80年代、軍事政権と民主化運動とが最後のせめぎ合いをしていた。
一連の「現代史もの」映画に描かれているのは、韓国人みずからが描く朝鮮戦争下のエピソードであり、私たち日本人が知ろうともしなかった悲劇だ。こういう映画を観ると、朝鮮特需という言葉を使うことがためらわれる。かつて植民地支配した国を襲ったさらなる悲劇が、戦後復興のきっかけになったとは。
「銀馬将軍は来なかった」(1991年)と「ブラザーフッド」(2004年)との間は、僅か13年。この間に韓国は何と大きく変わったことか。この変化の大きさと激しさは、ただただ驚嘆するばかりである。その分、混乱も大きい。2006年7月には北朝鮮がミサイルを発射し、金大中政権以来の融和政策が揺れている。内政外政共に、これからは民主化世代の思想性だけでは難しいかもしれない。実務能力も必要だし、より現実的な政策が求められていくと思う。
しかし、民主化世代の努力と貢献は大変なものだった。まさに死闘だったのである。彼らは間違いなく、大きな歴史的役割を果たした。韓国社会はこれからも大きく揺れ動いていくだろう。(84頁~、以下略)


サックリと書かれた場所を抜き出してみた。
現代史と映画の流れを丁寧に追いかけている箇所は抜き出すと長くなるので。

ついでに関連年表も下に出しておこうかと。
じっさいは、もっともっと作られている筈で(代表作だけ出してくれたのだと思う)、韓国映画をみていると、この「現代史もの」に絡めた(あるいはそのまま現代史)作品がとても多く、ヘタすると続けて見ていると、ずっと軍服姿をみているような気さえする。これはどこかに書いたと思うけど、韓国人にとって、いかに精神的肉体的に負担であったか、いまでも傷ついたままなのか、その作られた作品の数々を、1つずつ、あたっていくだけでも心中察することができる。ちょうど昨日、年表にもある「シルミド」をみたけど、「祖国の任務に命をかけた青年指導兵と、31人の訓練兵の魂に、この映画を捧げます」と字幕が出ていた。その歴史的背景が、この本のなかで詳しく説明されている。あとで記事にするとき少しは案内できるかと思う。韓国ではじめて1000万人を動員した大ヒット作で、実話を元にした全民族的な作品だという。しかし映画を作った時点でも、真実に関する情報公開はされておらず、文学的解釈に基づく創造も含まれていると、こちらは映画に先立って説明がなされていた。「シルミド」は2003年公開の映画で、それでもまだ全情報公開には至っていないのだった…。

現代史だけでなく、映画とともに案内してくれるから、とても参考になった。
川西さんには何年後かにも、ぜひ続編を!


主な出来事当時を描いた映画製作年・監督
1876日朝修好条規締結
1895明成皇后(閔妃)暗殺
1905第二次日韓協約締結爆裂野球団!2002 キム・ヒョンソク
関釜連絡船就航(釜山~下関)
1910日韓併合
1919三・一独立運動アリラン1926 ナ・ウンジュ
1923君が代丸就航(釜山~大阪)血と骨2004 崔洋一
1926朝鮮総督府竣工桑の葉1985 イ・ドゥヨン
将軍の息子1990 イム・グォンテク
1940創氏改名令施行族譜1978 イム・グォンテク
1944朝鮮人に徴用令
1945アジア太平洋戦争終結、解放
1948済州島四・三事件
李承晩、大韓民国設立宣言
1951朝鮮戦争銀馬将軍は来なかった1991 チャン・ギルス
太白山脈1994 イム・グォンテク
ブラザーフッド2003 カン・ジェギュ
1953休戦
1954四捨五入改憲大統領の理髪師2004 イム・チャンサン
夜を賭けて2002 金守珍
にあんちゃん1959 今村昌平
力道山2004 ソン・ヘソン
下流人生2004 イム・グォンテク
1960四・一九革命 李承晩亡命われらの歪んだ英雄1992 パク・ジョンウォン
1961五・一六軍事クーデター誤発弾1961 ユ・ヒョンモク
キューポラのある街1962 浦山桐郎
我が心のオルガン1999 イ・ヨンジェ
1965日韓基本条約締結ラブストーリー2002 クァク・ジェヨン
ホワイト・バッジ1992 チョン・ジヨン
1968北朝鮮ゲリラ、ソウルに侵入シルミド2003 カン・ウソク
1971大統領選で現職朴正煕に金大中猛迫
1972維新憲法制定
1973金大中拉致事件KT2002 阪本順治
森浦への道1975 イ・マニ
1974文世光事件チルソクの夏2004 佐々部清
1979一〇・二六事件 朴正煕大統領死亡その時その人々2004 イム・サンス
全斗煥軍事クーデター
1980光州事件ペパーミント・キャンディー1999 イ・チャンドン
全斗煥、大統領に就任友へチング2001 クァク・キョンテク
鯨とり1984 ペ・チャンホ
1985キルソドム再会の時1985 イム・グォンテク
1987ソウルで百万人デモ、民主化宣言殺人の追憶2003 ポン・ジュノ
1988ソウルオリンピック
1993金泳三、大統領就任
1995国立博物館(旧朝鮮総督府)解体
1997アジア通貨危機クワイエット・ファミリー1998 キム・ジウン
1998金大中、大統領に就任囁く廊下~女校怪談1998 パク・キヒョン
JSA2000 パク・チャヌク
2000南北首脳会談
2002ワールドカップサッカー日韓共催
2003盧武鉉、大統領就任
2004日本の大衆文化ほぼ全面開放


関連商品
なぜなにコリア
トーキングコリアンシネマ (現代世界読本)
「映画ファンのための」韓国映画読本―“男目線”のコリアン・ムービー・ガイド
韓国映画ベスト100―「JSA」から「グエムル」まで (朝日新書 47) (朝日新書 47)
わがシネマの旅―韓国映画を振りかえる

映画が語る昭和史 いつもヒロインたちがいた
映画が語る昭和史 いつもヒロインたちがいた川西 玲子

ランダムハウス講談社 2008-08-07
売り上げランキング : 38858

Amazonで詳しく見る


スポンサード リンク

Pagination

Utility

links

amazon

文学 韓国ドラマ 文学・評論 文庫新書 絵本・児童書 音楽 エンタメヘルス・ビューティー パソコン・周辺機器 ペット用品 洋書

rakuten

楽天市場 楽天ブックスTOP
楽天写真館 楽天トラベル
ホテル・旅館ランキング(全国)
楽天銀行  楽天カード
 

card

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。