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石原吉郎『恐怖』たぶん恐怖だから

少し前の産経新聞に詩人の石原吉郎が紹介されていた。
倉橋健一の文学教室にて。一部抜き出してみる。

石原作品を読むうえでまず、頭に置いておかなければならないのがラーゲリ(強制収容所)体験です。昭和14年に応召し、軍の情報部員であったことから終戦と同時にソ連内務省によって政治犯としてシベリアに抑留された彼は重労働25年の判決を受け、特赦により昭和28年、38歳で帰国するまでの8年間、森林伐採などに従事しました。(中略)

1950(昭和25)年の夏、石原は東シベリアの強制収容所の作業場から逃げ出したひとりの囚人が監視兵によって射殺されるのを目撃し、

「そのとき 銃声がきこえ/日まわりはふりかえって/われらを見た/ふりあげた鈍器の下のような/不敵な静寂のなかで/あまりにも唐突に/世界が深くなったのだ」

で始まる「脱走」という詩を書きました。それに関して、彼は「沈黙と失語」というエッセーでこう述べています。

《私はこの光景を目撃した。しかし事実のなまなましさ、さらにその場面を名指しての告発は詩の主題ではない。この詩の主題は<沈黙>である。このような、極度に圧縮された一回的な状況のなかでは、おそらく絶望というものがはいりこむ隙間はない。おそらくそこにあるのは、巨きな恐怖と、この恐怖に瞬間的に対応しなければならない自分自身だけであったと私は考える。》(中略)

巨きな恐怖とは何か。この全集(kairou注『日常への強制』)には収められていませんが、実際、彼は「恐怖」という詩も書いています。

《まぎれもなく健康であることは/たぶん巨きな恐怖だから/きみはなるべく/病気でいるがいい/ドアが正常に開き/通行を保障されるのは/たぶん巨きな恐怖だから/きみはすみやかに/拘禁されるべきだ/二人の男が向きあって/なにごともなく/対話がつづくのは/たぶん巨きな恐怖だから/一人は 即座に/射殺せねばならぬ》



強制収容所、監視兵によって囚人が射殺される、それを見た、などと読めば“いまどき”の私たちにはあまりに特殊な体験で、思考停止さながらこちらの身振りも大きくなりがちだけど。紙上でも「おそらく生物学的にもぎりぎりの~」と評されているし、エッセーでも「極度に圧縮された一回的な~」とあるわけだし。読み手は“強制収容所”という言葉の響き重さにそれらしい顔をこしらえてしまうかもしれない。が壮大な構図も派手な効果音も見えてこないし聞こえてもこない。フィクションのようなノンフィクションを生きているかもしれない“いまどき”でさえ、質素な佇まいをふと思い起こすかもしれないのだ。ノンフィクションだなぁ、と。

“いまどき”も、同様に、体験する。「極度に圧縮された一回的な状況」。真空の瞬間に身に覚えがないか。ながい長い一回的な、一瞬だ。

天地が取り払われ、無感覚の真空に、いきなり置き去りにされる。空間と呼べる場はなく、ただ置き去りにされる。すべての外界との関係性のなかで線引きし、輪郭をなぞることで辛うじて私や誰かを把握しているにすぎないのに、補助線なくして線引きできるだろうか。
無感覚の真空に置き去りにされてしまったら、私や誰かは存在していないに等しい。がまだまだ終わらずに、「the end」の後もノンフィクションは暴力的に続行される。存在していないはずの私や誰かの重さが、内側から熟し果て、無感覚に溢れ出していくかのように。
ながい長い一瞬は、それはそれは恐怖だろう。「巨きな」、というのは、かたちが見えないからだろう。かたちを把握できないから「巨きな恐怖」なのだ。取り払われていくような意味合いの言葉では言い表せないものがある。真空に圧縮された瞬間に、ただ置き去りにされる。そういう恐怖が確かにある。

二人の男が向きあって/なにごともなく/対話がつづくのは/たぶん巨きな恐怖だから/一人は 即座に/射殺せねばならぬ

たぶん、耐えられないほどの恐怖だから、日本を射殺せねばならぬ。
日本を射殺するように、中国や韓国も射殺せねばならぬ。
なにかがあるから「なにごともなく」。対話がつづくのは、
たぶん巨きな恐怖だから。


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