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『ブラッド・ダイヤモンド』 レオナルド・ディカプリオ

ブラッド・ダイヤモンド (期間限定版)

この赤土は 俺たちの命だ
この大陸で流された血の色だと言われてる
ここは故郷 お前は出ていかない


およそ2年もの製作期間をかけて、27か国以上からスタッフをかき集め、映画『ラストサムライ』のエドワード・ズウィック監督が紛争ダイヤモンドを映画にした。私はレンタルDVDで見たけれど、本編のあとに監督自らが映画『ブラッド・ダイヤモンド』について説明している。資料集めに現場での声、企画の練り直しと、そうとうに準備して取り掛かったようだ。舞台となるアフリカの小国シエラレオネのことは、世界地図のどこにあるのかスタッフの誰一人として知らなかったという。60年代までは静かな美しい土地だった。ダイヤモンドの発見が利権争いに火をつけ様相は一変した、と。

監督は企画書にこう記したらしい。「子供は宝石だ」
親子関係がこの物語の核となり、息子を探す父親の物語と、ダイヤモンドを探す男の物語を交差させようと考えたそうだ。「価値あるものとは何か」
なので、この映画は紛争ダイヤモンドを描くと同時に、親子愛を描いている。それをエンターテインメントとして見せようというのが監督の狙いだったようだ。

はじまって間もなくして、あの手を切る場面が出てくるが、これは象徴的な出来事で、ニュースで知っている“画”でもある。紛争ダイヤモンドと言ってまず思い浮かべるのがこの“画”だと思う。そして実際のRUF(革命統一戦線)の決まり文句がセリフとして吐かれることになる。
政府は投票させたい 投票には手が必要だ
だから手を切る

グロテスク。無差別に切り落とす。これはフィクションではない。いやフィクションの方が幾らかバイヤスをかける。それを映画の最初に持ってきている。紛争ダイヤモンドをエンターテインメントに作り変える必要があるのだろうか、という疑問が無きにしも非ず。手を切るというグロテスクな画が、親子愛と密売人の物語のなかで行き場を失っているかのようにも見える。物語に仕立てることで失くしてしまうものがある。そしてそのことこそが、じつは優先事項として先に語られるべきではないか。虚構と現実がぶつかり合い、落としどころを探している。この映画は探したままで終わってしまうのだが…。
パソコンを抱え 予防接種を済ませ 消毒液も持参でか
理想に燃えて?
君も“血のダイヤ”を売っている だれがダイヤを買う? 
大きな婚約指輪を欲しがるアメリカ人の女だ 
君らのご立派な雑誌に載ってる指輪を欲しがる
人を批判できるか 君らも加担してるんだ

ジンバブエ生まれ南アフリカ育ちの元傭兵である密売人ダニー・アーチャー(レオナルド・ディカプリオ)が、紛争ダイヤの密輸の実態を追うジャーナリスト、マディー・ボウエン(ジェニファー・コネリー)に矛盾を迫る場面だ。君らも加担していると、この映画を観た人すべてに訴えている。だから紛争ダイヤは買わないでくれ。2003年に紛争ダイヤを阻止する制度「キンバリー・プロセス」が出来た、これに目を通して清潔なダイヤを買ってくれと。映画の最後に流れる字幕には、「いまだに売買は続いているが、それを阻止するのは消費者である。シエラレオネは平和になった。しかしアフリカにはまだ20万の少年兵がいる」と訴えて終わっている。映画は現実と虚構の落としどころを探りながら、親子愛と密売人を交差させ、清潔なダイヤを買うように勧めて終わったわけだ。「パソコンを抱えて~」のくだりは、じっさいに監督が現場で言われた言葉なのだそうで、監督自らが言っているように、いまでもシエラレオネのことは分からない、と。
これだけ資料を集めて調査しても分からないと。分からないけれども優先事項として先に語られるべきことは、紛争ダイヤを買わないでくれ、ここだけ受け止めて貰えれば、それでよしとする、この監督さんらしい映画だと思った。ある意味欲がない、映画。『ラストサムライ』もそうだった。

物語としてみれば、手ぬるいかもしれない。しかし、分からない。性善説の話が出てくるが、そこが分からない。人間に闇などないとか単純だとか言ってる連中は手を切られてみればいいと思う。この監督さんが立ち止まってしまった場所に私も立ち止まってしまう。現実が重過ぎて失速した映画だと思う。だけど他にやりようがあったのか、どうなのか。紛争ダイヤを買わないでくれとしか言いようがないような…。

当時のシエラレオネには、大勢の元傭兵がいて、かつては紛争地域で活動していたが、アパルトヘイト終焉で行き場を失い、その多くがダイヤと武器交換に深く関わっていたのだそうだ。レオナルド・ディカプリオさんは現地でさまざまな人々と交わり言葉を覚え、元傭兵らしくガッチリとした体に鍛えて役に入っていた。英語が分かる人は字幕が付いたり外されたりしている所に気づく、らしい。ここはいったい、誰の、どこの、国なのか。俺たちの命の赤土は、出入りが多く、みんなに分け与えるたびに、血は流されていったのだった。(2007/アメリカ映画/公式HP

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