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『忘れられた日本人』宮本常一(1)

忘れられた日本人 (岩波文庫)


民族学者の宮本常一(Wiki) は、先輩の柳田國男らがこぼしていったものを後から拾って歩いたのかもしれないです。効率は悪いけど、こぼしたものにこそ、人々の姿が鮮明に映し出されていたのかも。

忘れられた日本人』は纏まりがなく、想定された行き着く先が見えず、いわゆる学者が書いたものというよりも、結末を決めずに語り出した小説のごとく、でした。いや小説ではなく、ノンフィクションです。日本人が忘れてしまった日本人を書き残したものです。

「昭和14年から思いつくままに各地をあるいた(同・306p)」そうですが、
あとがきに、こんな文章が・・。

「一つの時代にあっても、地域によっていろいろの差があり、それをまた先進と後進という形で簡単に割り切ってはいけないのではなかろうか。またわれわれは、ともすると前代の世界や自分たちより下層の社会に生きる人々を卑小に見たがる傾向がつよい。それで一種の非痛感を持ちたがるものだが、御本人たちの立場や考え方に立って見ることも必要ではないかと思う。(同・306p)」

あたりまえのこと(つまらないこと)を、と言いなさるか。
私は否と答えたいです。

先進と後進、上層と下層、AとB、こういった分け方に対して、そもそもAもBもないのだと一撃でひっくり返そうとしたり、AとBを言葉で転がして自説まで持って行こうとしたり、あたりまえの反対の、だって後進や下層よりも先進や上層の方がいいに決まってるじゃんと決めてかかったりもせずに、地道に足で調査して、「御本人たちの立場や考え方に立って見る」と言っているのです。私やあなたの思想ではなく、誰かや何かを思想抜きで「見る」ことも必要ではないかと言っているのです。これはなかなか難しいことではないでしょうか。

気短に、いきなり結論じみたことを書いてしまえば、
日本人は多くのことを忘れてしまったけれど、生きていくために失くしてしまった最低限必要なものの1つとして、宮本氏のこの態度が挙げられると思います。共同体の崩壊、なんてやってしまったら、だめなんですよ。それはまだ思い出せない渦巻きの中・・。

自身の股が裂けるほどに、大股で歩いて来てしまいました。
寄らば大樹の陰じゃないけれど、大きな言葉に身を預けることに慣れてしまいました。それが「知」だと教えられてきました。まず自分の歩幅を先に失くして、その後に残ったものは、茫漠とした虚無感のようなもの。不足し、不安で苛立ち、大きな言葉で現象を捉え、大きな言葉ごと巻き込まれて藻屑と消えてしまいそうな、実感のない孤独な生へと、持て余し気味に抱えているかのようにも見えるのです。
昨日の読売新聞を今頃読みましたけど、「イライラする若者60%超」と、トップに躍っていました。「今後貧しくなる」最悪57%、とも。
イライラも、貧しくなるも、ことごとく異なった意味として使われています。それだけ日本人は失くしてしまったし、実感のない大きな言葉に巻き込まれてしまったのでしょう。宮本氏の本を読んだ後では、とくにそう感じられました。

といっても宮本氏は学者さんなので、あてもなく彷徨い歩いたわけではないでしょう。いくらか、めぼしは付けたはずです。それでも、いい意味での番狂わせを、よしとしたのです。

「・・・相手の人が私の調子にあわせるのでなく、自分自身の調子ではなしてくれるのをたいへんありがたいと思うし、その言葉をまたできるだけこわさないように皆さんに伝えるのが私の仕事の一つかと思っている(同・309p)」

あたりまえ、とまた返ってきそうですが。
あたりまえ、と硬化した場所に、そうではないと杭を打つのは難しいですね。

「御本人たちの立場や考え方に立って見る」ことが、どれだけ大変なことか。
100パーセント誰かや何かを思想抜きで「見る」ことなんて不可能だけど、できるだけ自分の思想を脇に置いて、見ようとしなければ、見ることは出来ないでしょう。知ることは、この「見る」ことなしには、ありえないです。

私や誰かや何かのことを、私は何も知らないと思います。あれやこれやと考えたり言ったりするけれど、すべての語尾に「?」が付きます。
知らないのに大きな言葉で構築した架空の現実が決定事項となります。その決定事項の上に閉塞感とかいう、さまざまな現象が見られるのではないでしょうか。
政治や経済の世界ではどう説明するのか知らないけれど。政治や経済を中心に据えて(その奴隷となって)生きているわけではないでしょう。
そのような大きな言葉、あらゆる縛りをはずして、「見る」ことの難しさを思います。ねじれに捩れ、今となっては。

というわけで、宮本氏の本から、長々と抜き出してご紹介したいです。
忘れられた日本人の何人かは、こういう姿をしていました。
思想を抜きにして「見る」ことで、きっと幾らか取り戻せるかも。
次回へと続きます。

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